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「磐余池」と天香久山を歩く

近鉄大福駅から南へ15分ほど歩いたところで行われている大藤原京左京五条八坊(橿原市東池尻町)の発掘調査の現地公開に参加した。
平成23年度の調査で「磐余(いわれ)池」の堤跡が見つかったことで話題になった。
引き続いて今回の調査では、堤の外面裾部から石敷きや深さ3.2mの大溝が見つかった。
また盛り土が3度にわたってかさ上げされていることがわかった。
いわれ池1.JPG
付近には「樋ノ口」の地名が残っていることから池の水を排水する施設があったと想定した上で、大溝はその水量調整用、石敷きは水による侵食防止用ではないかと推定されている。
現場の北側に隣接する池には樋があるが、そのようなものが時代を越えて継続したのだろうか。
いわれ池3.JPG
『日本書紀』には用明天皇(聖徳太子の父)が「磐余池」のほとりに「磐余池辺双槻宮(いわれいけのべのなみつきのみや)」を営んだと記されている。
古代には天香久山の山麓周辺のことを「磐余」と呼んでいたが、その池の存在はわからなかった。
現段階でもまだ推定の域を越えず、その規模もわかっていない。
池は13世紀頃まで利用された後、水田になったことがわかっている。
天香久山の東麓周辺に広がる田畑を見ながら、今は亡き「磐余池」を想った。
いわれ池2.JPG
西に御厨子(みずし)観音妙法寺がある。
境内に枯山水の庭園やコイのいる池がある。
天香具山1.JPG
天香久山の北麓に古池がある。
農閑期で水は少ない。
天香具山2.JPG
「万葉の森」には『万葉集』の歌碑やそれに詠われた植物などが植栽され、水辺ゾーンもある。

中腹には「蛇つなぎ石」や「月の誕生石」がある。
天香久山は「竜王山」とも呼ばれる雨乞いの山として知られており、「蛇つなぎ石」は雨乞いで大蛇をつなぎ止めたものだという伝承がある。
天香具山3.JPG
「月の誕生石」には石が赤ちゃんを産んだという民話が残っている。
天香具山4.JPG
山頂(152m)には小さな社が二つ並んでいる。
向かって左側が国土を治める神を祀った国常立(くにとこたち)神社で、雨乞い神事が行われ、祠の前には水の入った壺が埋められているそうだ。
右側は水神を祀った高おかみ神社だ。
天香具山6.JPG
南麓にある天岩戸神社は神殿はなく、山の斜面にある4個の巨石の岩穴を御神体としている。
その玉垣内には竹が自生しているが、伝承では毎年、七本づつ新竹が生えて七本づつ古竹が枯れていくという。

北麓にある天香久山神社には「天の真名泉」がある。
天香具山5.JPG
藤原京資料室の北に畝尾都多本神社(うねびつたもと)神社がある。
社殿の背後にある祠の中の浅井戸を御神体としているそうだ。
「哭沢神社」ともいわれ、命乞いの神とされる泣澤売神が祀られている。
本居宣長の古事記伝によると、澤女は語源的に雨に通ずる水神とされている。

参考:
御厨子観音
http://www.ne.jp/asahi/mizushi/kannon/

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