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京都シリーズ②西陣から鴨川へ「名水」をゆく

焼けずの寺のいわれる本隆寺の本堂前に「千代井」がある。
「西陣七名水」の一つだったが、いつしか涸れてしまい、今は埋められて井桁だけだ。
1730(享保15)年の西陣一帯を焼き野原にした「西陣焼け」では、この井水を汲んで火を消し、一面の焼け野原の中で寺の本堂だけが残ったそうだ。
また無外如大尼(千代野姫)が満月の夜にこの井水を汲んでいた時に桶の底が抜けて月影が水とともに消えたので、仏道に入ったという由緒が残っている。
京名水9.JPG
「西陣の聖天さん」として親しまれている弘法大師創建の雨宝院(西陣聖天)の境内に「染殿井(そめどのい)」がある。
軟水は染料を溶かしやすく、染色に適している。
西陣は染物の産地として栄え、「西陣五水」(桜井、安居井(あぐい)、千代井、鹿子井(かのこい))の一つとされている。
京名水8.JPG
堀川通り沿いの晴明神社に「晴明井」がある。
陰陽師安倍晴明の屋敷跡とされ、その頃から湧出し、悪病悪疾が治る霊水といわれる「洛中の名水」の一つだ。
取水口の上石には五亡星が模られ、立春に神職が回転させて取水口がその年々の恵方を指す仕組になっている。
京名水7.JPG
蹴鞠の神様である鞠精大明神を祀った白峯神宮に手水舎より湧く「飛鳥井」がある。
神社の創建前には蹴鞠と和歌の宗家であった公家飛鳥井家の屋敷内に湧出していたものだ。
清少納言は『枕草子』で九つの井戸の名水の筆頭格に挙げた。
ボーリング調査で地下35mの水脈にあたり、かつての名水が復活した。
京名水12.JPG
奥の潜龍社には御神体とされる「潜龍井」がある。
「飛鳥井」から50mほどしか離れていないが、深さが違うと全く違った水脈となり、味も温度も異なる。
この水を飲めば、諸々の悪縁を断ち盗難災難除、病気平癒、事業隆昌に霊験あらたかになるという。

京都御所の南東にある下御霊神社に「御香水」がある。
神社が建つ以前の鎌倉中期には西園寺実氏の常盤井殿の屋敷内に「常盤井」という名水が湧いていたという。
その後、神社の御香水となっていたが、いつしか涸れてしまったという。
1992(平成4)年にボーリング調査して水脈にあたり、50年ぶりに復活した。
京名水13.JPG

参考:
近畿の水めぐり紀行<嵐山と京の「名水」めぐり>
http://www.geocities.jp/soho_fujiu/travel5.htm

本稿は上記を再構成したものです。


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