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京都シリーズ①西大路から河原町へ「名水」をゆく

JR西大路駅から北へ徒歩約5分、西大路八条に若一(にゃくいち)神社がある。
平安末期に平清盛が50余りの邸を持ち現在の梅小路公園まで及ぶ広大な別邸・西八条邸を建てた際に、その鎮守社として紀州熊野権現十二社の一つ「若一王子」を祀ったのが始まりだ。
その創建以来、日供祭(にっくさい=毎朝行われる崇敬者の安寧を祈るお祭り)にて御神前に供えられてきた「神供水(じんぐすい)」と「清盛公ゆかりの御神水」がある。
社殿を建立して以来、日供祭(にっくさい=毎朝行われる崇敬者の安寧を祈るお祭り)にて御神前古くから銘水として知られる地下水で、開運出世の水として、新生児誕生に際しての産湯とされた。
地下水の低下でボーリングして再生され、蛇口から水を汲めるようになっている。
京名水1.JPG
新幹線高架の南側の八条通に六孫王(ろくそんのう)神社がある。
多田神社(兵庫県川西市)、壺井八幡宮(大阪市羽曳野市)とともに「源氏三神社(げんじさんじんじゃ)」の一つだ。
六孫王神社は清和源氏の武士団を形成した源満仲がその父の源経基(つねもと)を祀る「清和源氏発祥の宮」とされている。
源経碁が清和天皇の第六皇子の子で清和天皇の孫にあたることから「六孫王」と呼ばれた。
その境内の「神龍池」に誕生水弁財天社がある。
満仲が誕生のおり琵琶湖の竹生島より弁財天を勧請して安産を祈願し産湯に使ったとされる「満仲誕生水」は、古くから京都の名水の一つとされ、木曽義仲の産湯に使われたともいわれている。
「安産の水」として親しまれ、「茶の湯都七名水」の一つとされている。
その北側裏手は新幹線の高架で、初代の井戸は新幹線高架下にあり、現在地に移転され、現在はポンプアップされ、「神龍池」に注いでいる。
京名水2.JPG
六孫王神社の北側を走る新幹線高架下のJR東海道線沿いに「児水不動明王(ちごすいふどうみょうおう)」の小さな祠がある。
もとは六孫王神社の境内にあったという。
その不動明王の脇から「児の水(ちごのみず)」が湧出し、眼病平癒の霊験があるという。
京名水3.JPG
JR線の北側の西堀川通小学校の西側に「芹根水(せりね)跡」の石碑がある。
文人墨客や茶道家などにも広く愛用されたことから「茶の湯都七名水」の一つとされた。
大正3年の堀川の改修で濁水が混入したため石碑だけが護岸中に残された。
それも昭和57年の堀川の暗渠工事で現在地に移された。
京名水4.JPG
少し北へ行った堀川通へ北東に至る道が「堀川」跡だ。
堀川通の西側に並ぶ興正寺から西本願寺の「堀川」は今は空堀になっている。

西本願寺の北へ行った歩道に「左女牛井之跡」の石碑がある。
堀川通の東側が「佐女牛井(さめがい)町」だ。
「左女牛井(醒ヶ井、さめがい)」は古くから梨木(なしのき)神社の「染井(そめのい)」と京都御所の「懸井(あがたい)」とともに「京の三名水」の一つとされている。
平安時代に源氏の六条堀川館にあった井戸と伝えられている。
室町時代にはこの地に住んでいた村田珠光が茶道を興して将軍足利義政に献茶した際に汲まれ、戦国時代には千利休も愛用したことから「茶の湯都七名水」の一つとされた。
これは「芹根水」「 満仲誕生水」」のほか、上京区東裏辻町の「滋野井」、 岩倉の妙満寺の「中川の井」、清水寺の「音羽の滝(延命水)」、市比賣(売)神社 の「天之真名井」とされている。
江戸時代には再生、改修されたものの、戦中の昭和20年の堀川通の拡幅で撤去された。
昭和44年に醒泉小学校100周年記念事業の一つとしてここに石碑が建立された。
京名水5.JPG
なおかつての「名水」が四条通北側の醒ヶ井通の京菓子司亀屋良長の店頭に復活した。
社屋改築でボーリングして地下80mから汲み上げた地下水を「醒ヶ井」として復活させた。
その水は菓子づくりに使用されている。
京名水6.JPG
「黒染」で有名な染工場(京都市中京区)の店頭に「柳の水」がある。
店の奥にある井戸脇でも水が汲める。
1870(明治3)年の創業時に地下約90mから地下水をくみ上げて以来、一度も枯れたことがなく、染色や飲用に利用されている。
千利休が茶の湯にも使用したそうで、そばに柳の木を植えて井戸に直射日光が当たるのを避けたともいわれている。
この辺りは柳水(りゅうすい)町とよばれ、少し離れた所に本来の「柳の水」があったそうだ。
西洞院通りは明治時代まで「西洞院川」で染物業者が多く集まっていた。
市電の開通で暗渠化された今では、地下水を汲み上げて染め物が行なわれている。
京名水10.JPG
近代的なガラス張りのビルの合間に、聖徳太子が創建した頂法寺(六角堂)がある。
境内の裏手に「聖徳太子沐浴の古跡」の池とお堂があり、「太子の水」が湧出している。
京名水11.JPG
京都の繁華街の河原町・新京極商店街にある錦天満宮の境内に「御神水」がある。
地下30数mから汲み上げられ、水温は年中17~18℃ほどで、検査の結果、無色透明で飲用にも適しているということだ。
豆腐店や漬物店など約130軒の店が連ねる錦市場では、豆腐店や漬物店などは商売に「錦の水」を利用してきた。
かつては各店舗が地下10~15mの井戸を掘っていたが、今では約40mからポンプアップして各店舗に配水しているという。

参考:
若一神社
http://www.kyoto-jinjacho.or.jp/shrine/05/010/

六孫王神社
http://www.rokunomiya.ecnet.jp/

京菓子司亀屋良長
http://kameya-yoshinaga.com/

近畿の水めぐり紀行<嵐山と京の「名水」めぐり>
http://www.geocities.jp/soho_fujiu/travel5.htm

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