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淀川シリーズ③東淀川駅から「柴島」へゆく

JR東淀川駅の北西に大願寺がある。
その境内外の北方に「長柄人柱 巌氏碑」がある。
長柄橋の架橋は度重なる失敗するほどの難工事だった。
そのため推古(613)年に巌氏自らが人柱となって架橋された。
そのおかげで大水が出ても流されることがなくなったという。
その冥福と長柄橋の守護を目的として建立されたのが大願寺だ。
柴島1.JPG
京都方向への東海道新幹線高架下(東淀川区西淡路5)に「中島大水道」ゆかりの石碑がある。
「中島大水道」はここを起点に淀川河口の此花区伝法へ至る全長9.5kmの排水路だった。
江戸時代に北中島22か村の庄屋や村民が度重なる水害と水はけの悪さに耐えかねて、江戸幕府に公儀普請による水路開削を請願したが許可されなかった。
そこで1678年に百姓普請でわずか50日間で貫通させてから淀川改修の明治32(1899)年まで約220年その機能を果たした。
柴島2.JPG
新大阪駅方向に新幹線高架下沿いを戻った南方に中島惣社(東淀川区東中島4)がある。
652年に孝徳天皇が長柄豊碕宮に遷都した際に五穀豊饒を祈願して創建されたという。
中島郷48か村の親宮で惣社といわれ、明治末には19000坪余の広大な境内だった。

1921(大正10)年に開通した阪急京都線は水路を埋立ててできた。
崇禅寺駅北側の「大宮橋踏切」はその名残だ。

崇禅寺駅と阪急千里線柴島駅の間には大阪市水道局柴島浄水場が広がっている。
春には浄水場の堤に植樹された桜の通り抜けができる。
今日(11日)はほとんど散っていた。
柴島4.JPG
この付近には「中島」「柴島(くにじま)」など「島」の付く地名が多いのは淀川の中州だった名残だ。
「柴島(くにじま)」にはかつて「茎(くき)の渡し」という渡し場があった。
その地名の由来には諸説ある。
「茎島(くきじま)」から転じたという説、繁茂していた櫟(くぬぎ)を柴の薪として伐採していた「櫟島(くぬぎじま)」から転じたという説、そして柴島神社の創始による説がある。

1232(貞永元)年に大洪水に見舞われた際、村人たちは「仲哀天皇の森」といわれるに高台に避難した。
そこに柴の束に乗った小祠が漂着し、そのお告げで村人たちが産土神として創建したのが柴島神社の始まりだという。
1901(明治34)年に淀川改修工事で南東方から現在地に遷座し、仲哀天皇社も摂社として境内に移転した。

柴島神社の境内に「柴島晒ゆかりの地」の碑がある。
1594(文禄3)年に始まり、江戸時代に盛んになった。
大坂では木綿業が盛んで、柴島ではその布木綿を淀川の流れで何度もさらして広大な堤で干した。
その様子は『浪花百景』や『摂津名所図会』などに描かれている。
現在、「柴島晒堤」はゴルフ場やグランドになっている。
柴島3.JPG
阪急千里線柴島駅の南東に薬師堂がある。
淀川の改修工事で消えた「薬師堂村」を偲んでいる。

長柄橋北詰下の柴島浄水場の西端に水道記念館がある。
大正3年から昭和61年まで主力ポンプ場として使われた旧第一配水ポンプ場で、その赤レンガ、御影石を用いた建物は宗兵蔵(そうひょうぞう)の設計で国の有形文化財として登録されている。
平成7年に水族館や大阪市の水道事業の歴史を伝える水道記念館がオープンした。
平成27年に水道の「学習施設」としてリニューアルされた。
柴島5.JPG
「大坂」では上町台地の一部を除いて塩分、鉄気が多い大阪平野の地下水は飲用には適さなかった。
そこで比較的きれいな淀川の水を川や運河から取水して飲用していた。
1870(明治3)年頃には「水屋」という水売り業者が出現し、1887(明治20)年頃には「中津川」岸に蒸気機械を備えた飲料水濾過所を設置して近隣諸村や大阪市中にまで飲料水を販売していた。
明治初期に大阪市内では幾度かのコレラ渦や大火の消火などで「水」に苦労した。
そこで1895(明治28)年に横浜・函館・長崎に次ぐ国内4番目の近代水道が完成し、「水屋」は廃業に追い込まれた。
当初、桜の宮を水源地として大阪城天守閣東側の貯水池から自然流下させていたが、市域拡張による人口増加で水不足に陥った。
そこで柴島の少し上流の淀川・江口を水源地から自然流下させる計画案が出されたが、堤防決壊の危険性があるとして撤回された。
その代替地として1907(明治40)年に柴島に建設することになった。
一大産地としていた晒業者が300年以上の歴史と当時の従事者数百名が生計が失われるとして反対運動があったが、1914(大正3)年に当時としては東洋最大規模の水源地が誕生した。

現在、柴島浄水場では1日最大118万立方mの給水能力をもち、主に市内中部、北部、西北部に給水している。
庭窪浄水場(守口市)では1日標準給水能力は80万立方m、給水地域は主に市内中西部、南部だ。
豊野浄水場(寝屋川市)は1日標準給水能力は45万立方m、給水地域は主に市内中部、東部だ。

参考:
大阪市水道局
http://www.city.osaka.lg.jp/suido/
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