SSブログ

大阪の小水力発電から「大阪都」と「関西州」は?

28日、NPO法人中小企業サポート隊主催の研究発表会「大阪の水エネルギー 昔の利用から今後の活用へ」が開催された。

サポート隊では山間部の流水を利用した「流水方式」のマイクロ水力発電の開発・普及に取り組んでいる。
これまでにも羽曳野市東阪田地区を流れる農業用水路や安中5丁目公園(八尾市)沿いの長瀬川で実証実験が行われている。
今回の研究発表では平坦な大阪平野が広がる都会でもできる新しい各種発電の実験等の発表された。

関西外国大学では高層棟の屋上に降った雨水(あまみず)が4階へ落下する落差25mを利用した「雨水発電」実験が行われている。
27Wの発電能力が得られ、非常用電源として期待されるという。

水道施設での小水力発電について紹介された。
水道事業者は河川水を浄水して各家庭へ配水している。
高台の浄水場から家庭に水を供給する配水場に流下する標高差などを利用して発電する仕組みだ。
その自然流下する中で、標準水圧より高低差が大きい地域に配水する水道管には「余剰水圧」があり、これを活用しようと提言された。
同様に各家庭の蛇口に設置する「水道水発電」の実験が行われている。

「金剛・葛城自然エネルギーの会」では金剛・葛城山系での小水力発電を進めている。
現在、千早川マス釣り場(千早赤阪村)では通年運用されている。
昭和30年代まで河南地域に水力発電所が5か所あったという。

明治・大正時代に河内から北摂の山間部に設置された多くの水車で製粉・製薬業などが栄え、大阪の発展の牽引力となった。
生駒山西麓では江戸時代から谷川の水を利用した水車が設置され、昭和18年頃には生駒西麓一帯で117輌の水車があったといわれている。
特に生駒山西麓中腹の興法寺から宝山寺へ至る辻子谷(ずしたに)越えの山道には谷の奥深くまで水車小屋が並ぶ、明治から大正時代に最盛期には最大44輌の水車が稼動する「日本一の水車郷」と呼ばれた。
電力の普及とともに各地で水車が減少していったが、薬種加工が主であった辻子谷(東大阪市上石切町)では他の谷より遅い1975(昭和50)年頃まで細々と使われていた。
その往時を語り継ぐために2004年実物大の直径6mの水車が、2007年に4分の1のミニチュアの水車小屋が復元された。
辻子谷水車.jpg
(撮影日2007.1.4)
水道施設を利用した小水力発電施設が大阪府内に3か所設置されている。
長居公園の地下にある大阪市水道局の配水場に流入する残存水圧を利用した小水力発電施設がある。
毎日24時間発電を行うことができており、年間の発電量は約200万kw時(約500軒の家庭使用量に相当)、配水場の電力の25%を賄っている。

堺市上下水道局桃山台配水場(堺市南区)に流入する水圧を利用した小水力発電施設がある。
年間約66万kw時(約180軒分の家庭使用量に相当)の発電を行っており、揚水ポンプを使用するときに3分の2を自給、ポンプ停止時にはほぼ全量を関電に売電しているという。

豊中市服部緑地公園そばにある豊中市水道局寺内配水池に千里浄水場から流入する水圧を利用した小水力発電施設がある。
年間100万kw時(約280軒分の家庭使用量に相当)の発電を行っているという。

奈良県内の大和川流域内には同様な小水力発電所施設が3か所ある。
近鉄生駒線沿いにある生駒市上下水道部山崎浄水場では平群調整池の高低差74mを利用している。
平成24年度には水道事業として全国で初めて再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)を利用して全量を関電に売電している。

奈良県広域水道センター(大和郡山市満願寺町)では御所浄水場からの流入する水を、桜井浄水場(桜井市初瀬)では室生ダムから貯留池へ流入する原水を利用している。

小水力発電の導入を促進するために環境省が全国の水道施設での発電可能量を一斉調査するという。
約1500の主要な水道事業者のうちで導入しているのは2012年度で2.7%だ。
(読売新聞2015.3.7付夕刊)

東日本大震災による福島第一原発事故で電源の再構成が求められている。
重要性が高まっているのが再生可能エネルギーで、その一つが小水力発電だ。
そしてエネルギーの「地産地消」が求められている。
小水力発電はごく限られた地域においての有望だ。

関電は近畿地方2府4県(京都府、大阪府、滋賀県 、兵庫県、奈良県、和歌山県)と福井県、 三重県、岐阜県の一部を営業区域としている。
富山県の黒部ダムや木曽川水系の関電の水力発電は関西への重要電源だ。
今後、電力の自由化でさらに火力発電施設などを全国に広げて、地域や国のエネルギーの「地産地消」しながら「脱原発」を進めていけばいい。

関電の筆頭株主の大阪市の橋下市長が関電の株式の売却をちらつかせている。
本気なのかどうかはわからない。
以前、株主総会で「脱原発」を求めたりしたが、単なるパーフォンマンス用に見た。
安倍政権の原発の再稼働が進められる中で、「脱原発」の声も聞かれなくなった。
関電の株式は「大阪都構想」では特別区に分割される。
ただその比率はわからない。

将来の「道州制」をにらんで2府5県と政令指定都市(大阪府、京都府、和歌山県、滋賀県、兵庫県、徳島県、京都市、大阪市、堺市、神戸市、鳥取県は3分野)で構成される関西広域連合がある。
未加盟の奈良県は4月に知事選を控えて現職の荒井知事が防災と観光での部分参加を表明した。
「卒原発」を掲げた嘉田前滋賀県知事が退任してからそのエネルギー政策の話題も少なくなった。
「関西州」のエネルギーの「地産地消」の一つとしても「小水力発電」を位置づけすべきだ。

参考:
NPO法人中小企業サポート隊
http://www.support-tai.jp/

大阪再発見!「辻子谷水車」
http://www12.plala.or.jp/HOUJI/shiseki/newpage972.htm

関西広域小水力利用推進協議会
http://kansai-water.net/

全国小水力利用推進協議会
http://j-water.org/

nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 1

宮本武二

神戸市シルバーカレッジに在籍中で、グループ研究として取り組んでいるところです。非常に興味を持って読ませて頂きましたが、この内容の最新版が有れば是非、メールで送って頂ければ幸いです。宜しくご検討お願いします。
t-miyamot@nifty.com
by 宮本武二 (2017-08-19 11:53) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。