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天神祭と「天満堀川」をゆく

水都大阪を代表する天神祭は愛染祭、住吉祭とともに大阪三大夏祭りだ。
949年に菅原道真公を祭祀して大阪天満宮が創建され、その翌々年から天神祭が始まった。
江戸時代には全国に知られるようになり、東京の神田祭、京都の祇園祭とともに日本三大祭りといわれた。

毎年7月24日が宵宮、25日が本宮で、それ以前から「天神祭ギャルみこし」などが日本一長い天神橋筋商店街を練り歩いて、祭りを盛り上げる。
本宮に陸渡御や千年以上も前に始まったともいわれる船渡御、奉納花火が盛大に催される。
その始まりを告げるのが宵宮の早朝の「鉾流(ほこながし)神事」だ。
午前9時頃から堂島川・鉾流橋北詰の御旅所で夏越祓いの神事が始まった。
斎船が龍笛の調べの流れる中、堂島川の中ほどの船上から神童の手によって神鉾や人形(ひとがた)が流され、天神祭の無事と安全が祈願された。
天神祭1.JPG
その鉾や大阪天満宮の表大門の茅輪は琵琶湖で取れた葦が奉納されたものだ。
鉾に託して「穢れ」を祓うとともに、年に一度、神が氏地を巡見されるという意味合いも持っているという。
もともとは鉾が流れ着いた先が御旅所となる神事だった。
江戸時代にその常設化で途絶えたが、昭和5年に鉾流橋の架橋に合わせて復活した。

江戸時代には天満は「大坂三郷」の一つとなり、その氏地を中心に様々な「講社」が結成されて祭りを支えた。
その一つが「どんどこ船講」だ。
木津川、土佐堀川を上って、午後2時頃に天神橋北詰付近でクレーンにつるされて陸揚げされ、境内へ巡行した。
天神祭7.JPG
午後4時頃に催太鼓(もよおしだいこ)が氏地への巡行に出発した後、どんどこ船が境内へ宮入りした。
天神祭2.JPG
その後、船渡御とは別に中之島から道頓堀まで川を巡行し、お囃子太鼓を鳴らしながら祭りムードを高める。

史実によると、その誕生は江戸後期だ。
「伝馬船」といわれる小さな木の船で天神祭を見物に行ったのが始まりといわれている。
明治中期には木場の船大工たちが自前の船で祭りに繰り出した。
現在の28丁の櫂を持つどんどこ船の原型は大正初期にできた。
その中期には祭りの見物ではなく、玉神輿や凰神輿を引く役割も持ち、太鼓や鉦を積んで囃を鳴らし、祭りの重要な立役者になった。
天神祭8.JPG
平成24年に天神橋から難波橋にかけての堂島川右岸に「天神浜遊歩道」(写真右手)が整備され、船渡御の乗船場の一つになった。
この付近は乾物品の問屋街が形成されて、その蔵が立ち並んでいた。
菅原町には今でもその面影を残す伝統的な建築物が残り、大阪天満宮周辺とともに「天満地区HOPEゾーン事業」として町並みが保全されている。
天神祭4.JPG
天満はこのほかに酒造業やガラス工業で栄え、大阪天満宮にはその名残がある。
酒造にも利用された井戸は約20年前にすべて枯れてしまったが、今夏、「天満の名水」として大阪天満宮の境内に復活した。

菅原町の一角にある天満堀川抽水所(ポンプ場)の上を走る阪神高速守口線(写真奥へ)は「天満堀川」跡だ。
天神祭3.JPG
高架下には「太平橋」の親柱が残っている。

高架の西方の西天満は堂島川への樋門があったことから「樋之上町」と呼ばれていた。

菅原町の北方の高速下に「樽屋橋」の親柱と小社がある。
その周辺は醤油樽や酒樽を作る材木を供給する店があったことから「樽屋町」と呼ばれた。
天神祭5.JPG
堀川橋交差点北方の堀川戎神社に摂社・榎木神社がある。
扇町通の旧大阪市水道局付近に榎の大木があったことからそう呼ばれているが、「地車(だんじり)稲荷神社」ともいわれ、地車のような社が特徴的だ。
天神祭6.JPG
扇町通には「梅ヶ枝橋」(かつては綿屋橋)の欄干や石碑が残っている。

その北方に広がる扇町公園にはかつて備前岡山藩の蔵屋敷があり、樋門から蔵屋敷への舟入があった。

「天満堀川」は豊臣大坂城の北部防衛ラインとして天満地域を守るために1600(慶長5) 年に完成した。
その堀留が現在の扇町公園付近だった。
当初は堂島川から南北方向の堀川だったが、その溜り水が腐敗して悪臭を放つようになった。
そのため1838(天保9) 年に堀留から北東方向の古井路筋を拡幅・延長して、淀川(現在の大川・都島橋付近)から取水して、堂島川へ流した。
それでも堀留付近には大川から流れてきたゴミが溜まり、「ゴモク山」と呼ばれた。
明治時代にも衛生問題が出たが、舟運の必要性から開渠のままで改修工事がなされた。
昭和43 年に始まった埋立てによってその歴史を終えた。

参考:
大阪天満宮どんどこ船講
http://どんどこ.com/main.html

堀川戎神社
http://www.horikawa-ebisu.or.jp/
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